我が家にADSLを導入した頃の話

いままでサイトに古い無線LANについてのページを載せていたのですが、その当事、無線LANをどうやって設定するか書いてあるページも少なく、失敗もそのまま参考になるだろうと思って、試行錯誤の過程も書きました。
しかし、まったく知識もないときに苦労して設定した記録は恥ずかしくもあり、今では初心者が無線LANの設定をするために参考になるようなページはあふれていて、かつての私のデコボコ失敗談を参考にする人はいないだろうと思われます。
私自身も当時と違って今はもっと体系的な知識を持っていますので、書ける内容も違います。
これを機会にページをあらためたいと思いました。

そうは言っても、どういう形で書いていくのがいいかいろいろ迷いました。
これから無線LANに出会う人の参考になる方がいいかと思い、その線に沿って一般的な無線LANについてを噛み砕いて書く方法もいろいろ考えてみました。
しかし、どうしてもアウトラインが見えてきません。

やはり、いきなり一般論に広げず、あまり役に立たなくても自分の過去の環境を中心に話を進めていくのが一番書きやすいと思いました。

ADSL導入前夜

ADSLは、2000年当事、韓国などではすでに普及していると言われていた技術ですが、日本では、NTTが表向きはISDNとの干渉のため、また、はっきりといわないけれど光の普及のために、導入を渋っていました。
しかし、FTTHの普及にはまだ遠かった当事の現状で、広帯域のインターネット技術を早く提供することが求められ、導入を迫る声が高まったということなのでしょう、NTTも重い腰を上げました。
2000年の12月までは一部地域でのみ試験サービスとして提供されていましたが、試験サービスが終了すると同時に、公式サービスとなりました。

フレッツADSL(第1種サービス)では収容局内のMDFにNTTがADSL装置を設置して収容局から利用者宅までの回線をすべてNTTが管轄します。
一方、プロバイダがADSLを設置して提供する第2種サービスでは、収容局内から利用者宅までは、回線はNTTから借りているものの、ADSL通信の責任はプロバイダにあるという形になっています。(もう少し細かいパターンがあるようですが割愛。)
試験サービス当事から第2種サービスを行っていたプロバイダ(インターネット網に接続するために利用者が契約するプロバイダと区別するためにキャリアとよびます。)は東京めたりっく通信とeAccess(NTT東日本管轄では)です。東京めたりっく通信はどこかと合併(?)して今ではなくなってしまいましたね。今ではYahoo!BB、ACCA、eAccessなどがこの第2種サービスを提供しているプロバイダ(キャリア)です。

ADSL公式サービス普及

試験サービスを行っていた地域では、終了後直ちに公式サービスに移行しましたが、その他の地域では、大都市から順にという感じで徐々に対応地域が増やされていました。
私の住んでいる地域では2001年3月から申し込みが開始されました。開始後すぐに申し込んで、我が家で実際に開通したのは5月8日です。

このころにはまだADSL開始の知名度はそんなに高くなかったと思われます。
私の地域では同じ3月にフレッツISDN(ISDNの定額サービス)の申し込みも開始されたのですが、現場でフレッツISDNを営業していたNTT社員でさえ、同じ局で同じ時期(同じ3月で日付レベルでちょっと後)にフレッツADSLが開始されることを知らなかったりしました。

それからあっという間にADSL対象地域が増えて、ADSLぐらいは当たり前になってしまいましたねぇ・・・。

定額サービスなら同時に多数台接続したい

そのときすでに我が家には主にインターネット接続に利用するPC以外にモデムのない古いノートPCがあったことと、息子が大学生でインターネットを利用する環境にあったのとで、ADSLが開通したら、多数台同時にインターネット利用ができるようにしたいと考えていました。
ダイヤルアップで一つの回線をとっかえひっかえ使っていた時には利用時間が競合して不満が多かったのです。

また、多数台接続するなら、LANケーブルが延々と廊下を這いまわるような事態を避けたいと思いましたので、初めから無線LANを利用することを考えていました。

当事の無線LAN機器

我が家にADSLを導入したのが2001年5月ですが、その半年後にもなれば、家庭用の無線LANルーターなど、その手の機器を扱っているどのメーカーでも出すようになっていて、選ぶ時にはよりどりみどりだったのでしょう。しかし、5月の時点ではまだそうでもありませんでした。
単なるアクセスポイントとルーターを別々に探せば違ったのかもしれませんが、そういう探し方をしなかったので今となってはわかりません。

フレッツADSLのモデムはブリッジタイプなので、多数台のPCをつなぐにはルーターが必要です。(ADSL開通当事ACCAはまだなく、eAccessもエリア外だったのでその時点の他のキャリアの事は知りません。)
ルーターとアクセスポイントが一体になった、一般的に無線LANブロードバンドルーターと呼ばれるもの(ダイヤルアップルーターと違ってWAN側にEthernetポートがある)を探していました。
購入したのはMelco(現BUFFALO)のWLS-L11-Lです。値段は3万円以上しました。
無線LANカードはWLI-PCM-L11です。値段は1万数千円。

価格はどんどん下がってこの半年後ぐらいには無線LANルーターは2万円台になってしまいました。
カードはすぐには下がらなかったけれど、1年後ぐらいには半額だったのでは?
今では、1万円台でもっとずっと高機能の無線LANルーターが買えますね。

ただし、あまり普及していなかった頃というのは機器の値段は高かったのですがラッキーだったこともあります。
アンテナWLE-DAを中古で1400円で手に入れることができたのです。
箱もあるしっかりした美品で、中古であることを全く感じさせません。
これの定価は当事8800円で、店頭でも安売りしているのを見たことがありませんでした。
確かに、今は定価はもっと下がっています。
今(2005年5月)、このアンテナの定価は5980円ですが、中古でも3000円台ぐらいします。
当事は、需要があまりなかったのではないかと想像します。
店頭に飾ってあっても、他の中古の品といっしょに並んで目立たない状況では、これが何かすぐにピンと来る人は少なかったかもしれません。

無線LANの設定

PPPoE

WLS-L11-Lは当事の最新ファームウェアでPPPoEに対応していました。
つまりルータにPPPoEの設定をすると、ルーター上でPPPoEの認証をして常にルーターが接続状態を維持します。
このおかげでPCにフレッツ接続ツールをインストールしなくてもいいのです。
今では当たり前かもしれませんが、当事はこういうことが新しかったのです。

また、最新ファームウェアで無線LANで接続しているPCからのルーターの設定もできるようになっていました。
そのつもりで買ったのですが、これはちょっと苦労しました。

しかし、これらのファームウェアの更新がまだ添付のマニュアルに反映されていなくて、古い設定方法が載っているマニュアルと変更された設定方法を書いた紙が同封されていました。
ルーターの設定がWEB画面上でできるのはもっと以前からのようで、すでにマニュアルに反映されていました。

DHCP

ルーターの機能の一つとして、DHCPサーバー機能によって接続した各端末にプライベートIPアドレスが割り当てられるようになっています。
このDHCPサーバー機能については以前はデフォルトでオンではなかったようで、マニュアルには最初はPC側でIPアドレスを指定する設定方法が書いてありました。しかし、購入した時点ではデフォルトでオンに変更されていて、添付の新しい設定方法が書いてあるシートには変更された旨が書いてありました。

IPアドレスを手動で設定するとなると、LANについての知識がないと一体どんな数値を入れていいか迷ってしまいますが、マニュアルには数値まで具体的に(あくまでも一例なのですが)書いてあったので、いくつもある数値を飽きずに順にその通り入れていくことができれば、LANについてわからなくても、とりあえずつながります。
DHCPがオンになっていればPC側は「IPアドレスを自動取得」にしておけばいいので、設定はもう少し簡略化されます。
今ではさらに簡略な方法が用意されていて、マニュアルを読みながら順に設定する必要もなくワンタッチで接続できるようになっていますが、あまりブラックボックスのまま使っていると何か問題が出たときに自分で全く対応できなくなりますので、ある意味問題かもしれません。

一つ注意しなければならないのは(この機種ではデフォルトで)一度DHCPによって、あるMACアドレスにIPアドレスが割り当てられてしまうと、しばらくその対応を覚えたままになってしまいます。そのために予想外の苦労をしてしまうことがあります。
私は初めて無線でこのルーターの設定をしたときに、それを知らずに不用意に無線LANカードを入れ替えて苦労してしまいました。

無線の設定

今ならWindowsXPには標準で無線に接続する機能がありますが、当事は無線に使われるESSIDなどをユーティリティを使って設定しなくてはなりませんでした。無線でつないだPCからルーターの設定をしようとするとまずこの作業が必要になります。
有線で接続しているPCで設定するなら(デフォルトでDHCPサーバー機能がオンになっていますから)PCを起動すればIPアドレスが割り当てられるのですぐにWEB設定画面を表示できて簡単です。

MELCO(現BUFFALO)のAirStationの無線設定用のユーティリティーといえばクライアントマネージャですが、当事は設定用のエアステーションマネージャとクライアント用のクライアントマネージャに分かれていました。どちらかというとAirStationの検索もできて、無線LANカード側の設定もできるエアステーションマネージャの方が現在のクライアントマネージャに近いようです。

AirStationの検索をする、無線LANカード側にESSIDやWEPキーを設定する、の両方の機能を担っているのはエアステーションマネージャでした。
当事のクライアントマネージャにはAirStationの検索機能はなく、エアステーションマネージャで検索したAirStationの状態をファイルとして保存してFDで読み込むようになっていました。

その後この2つは統一され、クライアントマネージャのみで検索、接続ともできるようになりました

最近では視覚的な簡易さを目指したようなクライアントマネージャ2というものがありますが、ステルスに設定している古い機種のAirStationに接続できないという決定的な弱点があるので、古い機種を使っている場合には設定ファイルを読み込むことでステルスのAirStationにも接続できる以前の(2のつかない)クライアントマネージャは今でも必要ですね。

あとがき

当時のことを思い出して、ずらずらとまとまりなく書いてしまいました。
インターネット環境はどんどん変化しているので、この中で「今」などと言っていることもまたすぐに古くなってしまうでしょう。
日がたっても単なる過去の記録として残すつもりで日付を入れておくこととします。

2005年5月19日


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